1.契約書に必ず記載すべき事項
契約書には、最低限、次の事項を記載する必要があります。
・取引の内容(条件)
・契約当事者の署名又は記名捺印
・契約の日付
取引の内容(条件)については、契約当事者間で合意をした内容(条件)の全てを、明確かつ具体的に記載して下さい(必ずしも法律的な表現を用いる必要はありません)。
2.契約書に記載すると有益な事項
契約書に次の事項(特約条項)を記載しておくと、債権回収において有利となります。
ア.期限の利益喪失条項
債権回収は「早い者勝ち」の要素が大きいので、債務者(取引先)の信用状態が悪化したときは、迅速に債権回収に着手しなければなりません。
ところが、債務者の信用状態が悪化しても、契約で定めた支払期限が到来するまでは、原則として、債務者に支払を請求することはできません(担保も実行できません)。
このように、「期限が到来しないことによって債務者が受ける利益」のことを、「期限の利益」といいます。
そこで、契約書に、「一定の事実が発生したとき(※)は、当然に債務者は期限の利益を失い、直ちに残債務全額を支払う。」という趣旨の条項(これを「期限の利益喪失条項」といいます)を記載しておくと、債権回収において有利となります。
※具体例
・債務者の他の債務について民事保全又は民事執行の申立てがあったとき。
・債務者が振出、裏書又は保証をした手形又は小切手が不渡りとなったとき。
・債務者について破産、民事再生、会社更生又は特別清算の申立てがあったとき。
なお、次の場合には、法律上当然に、債務者は期限の利益を失います。
・債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
・債務者が担保を滅失、損傷又は減少させたとき。
・債務者が担保供与義務を履行しないとき。
イ.契約解除条項
債権回収に着手する場合に、契約の解除(契約がなかった状態に戻すこと)をする方が有利な場合があります。
ところが、契約の解除(履行遅滞による解除)は、原則として、「支払期限を経過し、債権者が相当の期間を定めて催告をしても、なお債務者が支払をしないとき」に、初めて行うことができます。
すなわち、債務者の信用状態が悪化しても、それだけでは、契約の解除はできないのです。
そこで、契約書に、「一定の事実が発生したとき(※)は、債権者は、何ら催告をすることなく、直ちに契約を解除することができる。」という趣旨の条項(これを「契約解除条項」といいます)を記載しておくと、債権回収において有利となります。
※具体例は、「期限の利益喪失条項」の具体例と同様です。
ウ.遅延損害金条項
支払期限を経過しても債務者が支払をしないときは、法律上当然に、年6%の遅延損害金を請求することができます。
ただし、当事者間で合意をすれば、より高い利率を設定することが可能であり、そうすることによって、債務者にプレッシャーを与えて、支払を促すことができます。
そこで、契約書に、遅延損害金の利率として、年6%を超える利率(年14%位が多いようです)を定める条項(これを「遅延損害金条項」といいます)を記載しておくと、債権回収において有利となります。
エ.管轄条項
債務者との間で訴訟となったときに、どこの裁判所で訴訟をするかは、意外と重要です。
遠方の裁判所で訴訟をすることになれば、交通費等の無駄なコストが発生してしまいます。
どこの裁判所で訴訟をするか(これを裁判所の「管轄」の問題といいます)は、法律によって決まりますが、当事者間で合意をすれば、自由に決めることができます(例外があります)。
そこで、契約書に、訴訟となったときに、自社に有利な場所にある裁判所で訴訟をすることを定める条項(これを「管轄条項」といいます)を記載しておくと、債権回収において有利となります。